相続財産清算人|相続財産清算人とは?相続財産管理人との違いや選任の流れ・費用なども解説

遺産相続

更新日 2026.05.20

投稿日 2024.05.09

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

弁護士法人あおい事務所の相続専門サイトをご覧いただき、ありがとうございます。当サイトでは、相続に関する法的な知識を分かりやすくお届けしております。皆様のお悩みの解消に少しでもお役立ちできましたら幸甚です。

被相続人の遺産を受け継ぐ人が誰もいない場合に、その遺産はどうなるのか、疑問に思われたことはないでしょうか。

空き家の倒壊や治安の悪化といった社会問題にもつながるため、もし所有者のいない不動産がそのまま放置されてしまったら大変です。また、故人にお金を貸していた人としては、故人の遺産から少しでも弁済してもらいたいところかと思います。

こうした場合に、受け継ぐ人のいなくなった相続財産を適切に管理・処分できるよう、民法には「相続財産清算人」という制度が設けられています。

そこでこの記事では、相続財産清算人とはどういった人なのか、弁護士が詳しく解説させていただきます。どういった場合に相続財産清算人が必要となるのか、どのような手続きを経るのか、といった事項について具体的に確認していきたいと思います。また、相続財産清算人の旧称である「相続財産管理人」との違いについても、法改正を踏まえて触れていきますので、ぜひ本記事を最後までご覧いただけましたら幸いです。

目次

相続財産清算人

1.相続財産清算人とは

それでは、相続財産清算人がどういう役割を持った人なのかを見ていきましょう。

1-1.相続財産清算人とはどういう人?

相続財産清算人とは、相続人がいない場合や相続人全員が相続を放棄した場合に、相続財産の管理・清算を行うために選任される人です。

通常、相続人がいる場合は被相続人の相続財産は相続人が管理・処分します。ですが、相続人がいない場合や、全員が相続放棄をしたことによって相続人が不存在となった場合、相続人の存否が不明な場合などには、相続人自身による財産管理を期待できません。

そこで民法は、相続人の存否が不明なときに相続財産を法人とみなし(民法第951条)、この場合には相続財産の清算人を選任することで、相続財産を適切に管理・処分できるようにしているのです(民法第952条)。

(相続財産法人の成立)
民法第951条 相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。

(相続財産の清算人の選任)
民法第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

相続財産清算人の選任は、家庭裁判所が行います。選任された相続財産清算人は、相続財産法人を代理する者として(民法第956条1項)、財産の管理・保存行為や、相続債権者や受遺者への弁済、特別縁故者に対する相続財産分与の履行といった清算業務を担います。

1-2.どういうケースで選任が必要になるの?

相続財産清算人ですが、相続人がいる場合には基本的に選任する必要がありません。そのため、相続財産清算人を選任するケースとしては、① 相続人がいない場合、② 相続人全員が相続放棄した場合、の2つが考えられます。被相続人に法定相続人が一人もいない場合や、相続人全員が相続放棄した場合、相続財産を管理・清算する人がいなくなるため、相続財産清算人の選任が必要になります。

その上で、特に以下のようなケースにおいては相続財産清算人の存在が重要となってきます。

1-2-1.債権者が債権を回収したい場合

債権者が債権を回収したい場合、相続財産清算人の選任が必要です。

被相続人に対し債権を持っていた債権者は、相続人がいれば、相続人を介して債務の弁済を受けることが期待できます。ですが、相続人がいない場合、債務の支払いをしてくれる人がいないことになってしまいます。債権者は遺産から直接債権を回収することもできませんし、支払を求める相手がいないため裁判を起こすこともできません。

このため、債権者が相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立て、相続財産清算人を介して債権を回収することになるのです。

1-2-2.相続放棄をした人が相続財産の管理義務を免れたい場合

相続放棄をした人であっても、相続放棄をした際に占有していた相続財産を、他の共同相続人か相続財産清算人に引き渡すまでは、適切に保存する義務が生じます(民法第940条)。

(相続の放棄をした者による管理)
民法第940条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
2 第六百四十五条、第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。

たとえば、実家に住んでいた相続人が、被相続人の死を機に引っ越すことにしたとします。住む予定もなく管理することもできない実家を手放そうと思って相続放棄をしても、家屋が倒壊して近隣に損害を与えるといった問題が起こらないよう、管理しなければならないのです。

被相続人の子が相続放棄し、被相続人の兄弟が相続人になる場合は、子は故人の兄弟に実家を引き渡すことで、実家の管理から免れることができます。ですが、他に相続人がいない場合は、なるべく早く相続財産清算人を選任しなければ、その間保存義務を負わなければなりません。

1-2-3.特別縁故者が相続財産を受け取りたい場合

特別縁故者とは、相続人がいない場合に、家庭裁判所の審判によって相続財産の全部または一部の分与を受けることができる人のことです(民法第958条の2)。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第958条の2 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

条文にあるとおり、被相続人と生計を同じくしていた者(内縁関係や事実上の養子など)、被相続人の療養看護に努めた者(被相続人に対し、対価なく、または報酬以上の献身的な療養看護を行った人)、その他特別の縁故があった者などが該当します。

相続人がいない場合に、特別縁故者が相続財産を「特別縁故者に対する相続財産の分与」として受け取るためには、家庭裁判所に特別縁故者に対する財産分与の申立てを行う必要があります。そして、特別縁故者に対する財産分与の申立ては、相続財産清算人の選任後、相続人捜索の公告期間(6ヶ月以上)が満了した後、3ヶ月以内に行わなければなりません(民法第958条の2第2項)。

つまり、特別縁故者が財産分与を受けるためには、その前提として相続財産清算人が選任されている必要があるのです。

1-2-4.相続税申告(準確定申告)が必要な場合

被相続人が年の中途で死亡した際、その年の1月1日から死亡日までの所得について、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に、所得税の準確定申告を行わなければなりません(所得税法第124条、同第125条)。

相続人がいる場合は相続人が準確定申告を行うことになりますが、相続人がいない場合は相続財産清算人が行います。そして、相続財産清算人が申告をする場合は、「相続財産清算人の選任が清算人本人に通知された日の翌日から4ヶ月を経過した日の前日まで」が申告期限とされています。

適切な税務処理のために、相続財産清算人の選任は不可欠なのです。

1-3.相続人がいる場合でも選任されることがある

なお、相続人がいる場合でも、相続財産清算人が選任されることがあります。

たとえば、相続人が複数人いるケースにおいて、相続人が限定承認をしたときは、家庭裁判所は相続人の中から「相続財産清算人」を選任しなければならないとされています(民法第936条)。

(相続人が数人ある場合の相続財産の清算人)
民法第936条 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2 前項の相続財産の清算人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。
3 第九百二十六条から前条までの規定は、第一項の相続財産の清算人について準用する。この場合において、第九百二十七条第一項中「限定承認をした後五日以内」とあるのは、「その相続財産の清算人の選任があった後十日以内」と読み替えるものとする。

複数人の場合とされているのは、相続人が1人のケースで限定承認をしたときは、そのまま相続人の立場で相続財産の管理を行うからです。

限定承認とは、相続人が、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して、相続を承認することを指します(民法第922条)。

こうした複数人いる場合の限定承認において相続財産清算人を選任する必要があるのは、清算の実務を一本化して責任の所在を明確にし、事務処理の煩雑さを解消するためです。選任された相続財産清算人は、相続人のために、相続財産の管理および債務の弁済に必要な一切の行為をする権限を有します(民法第936条2項)。相続債権者等への公告・催告や弁済といった清算実務を行うとともに、債権者間の公平な遺産分割を実現させる役割を持っているのです。

1-4.相続財産清算人の選任が必要ないこともある?

ところで、相続人がいない場合でも、遺言が存在し遺言執行者が指定されているときは、相続財産清算人の選任は必要ありません。遺言執行者が遺言を執行することで、受遺者は遺贈を受け取ることができます。遺言で遺言執行者が指定されていない場合も、受遺者は家庭裁判所に遺言執行者の選任を申請することで遺贈を受けることができます。

ですが、遺言に相続債務の支払いに関する記述がない場合には、遺言の内容を実現させる遺言執行者では、遺言にないことはできません。そのため、相続財産清算人の選任が必要となります。

2.相続財産管理人と相続財産清算人の違い

2-1.相続財産管理人とは?

2023年4月1日より施行された改正民法によって、相続財産の管理に関わる制度が整理され、その職務内容に応じて「相続財産清算人」と「相続財産管理人」という2つが使い分けされるようになりました。改正前民法においては、相続人の存否が不明な場合や限定承認がなされた場合に選任される者について、一律に「相続財産管理人」と呼称していました。

なぜ改正に至ったのかといいますと、改正前民法では、相続財産が相続人によって管理されない場合に関して、① 相続人が相続の承認又は放棄をするまでの段階、② 限定承認がされた後の段階、③ 相続放棄後、次順位者が相続財産の管理を始めることができるまでの段階、の各段階において、相続財産の保存に必要な処分をすることができる旨が定められていました。ですが、これでは「共同相続人が相続の単純承認をしたが、遺産分割前で遺産共有状態にある場合」や、「相続人のあることが明らかではない場合」についての規定がなく、カバーできない部分があったのです。

そこで、遺産相続が開始すれば、その段階にかかわらず、いつでも相続財産の管理人の選任や、その他の相続財産の保存に必要な処分をすることができる旨の規定が新しく設けられることとなったのです(民法第897条の2)。

(相続財産の保存)
民法第897条の2 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。ただし、相続人が一人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第九百五十二条第一項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。
2 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

改正民法による相続財産管理人は、相続財産の保存を目的としているため、これと区別を明確にするために、限定承認及び相続人不分明の場合に相続財産の清算を目的として選任する、改正前民法による「相続財産管理人」の名称が「相続財産の清算人」に変更されることとなったのです。

2-2.民法改正後の相続財産管理人と相続財産清算人の違い

この改正により、相続財産管理人は、相続財産の管理に特化した役割を担い、相続財産清算人は、財産の管理だけでなく、相続人や債権者の捜索や弁済といった、より広範な責任を負うようになりました。まとめますと、下表のとおりです。

  相続財産管理人 相続財産清算人
選任の申立て時期 相続開始後、「相続人が1人で単純承認をしたとき、相続人が複数いて遺産分割が完了したとき、相続財産清算人が選任されているとき」の場合を除きいつでも可能 相続人の有無が明らかでないとき
役割と権限 相続財産の管理のみを行う 相続財産の管理、相続人や債権者などを捜索するための公告、債権者がいる場合の弁済

3.相続財産清算人の業務

さて、相続財産清算人の役割は、相続財産や相続人を調査し、借金などの債務が存在する場合はそれを債権者に支払い、清算することです。また、特別縁故者がいる場合には、特別縁故者への財産分与の手続きに関わります。最終的に、債権者も特別縁故者もなく相続財産を引き継ぐ人がいない場合には、残った財産は国に帰属させることになります。これが、相続財産清算人の業務です。

ところで、これらに関連する行為を、何でも無制限に行えるというわけではありません。相続財産清算人には「裁判所の許可なく行える業務」と「裁判所の許可(権限外行為許可)が必要な業務」があるため、どういった行為が当てはまるのか、具体的に見ていきたいと思います。

3-1.相続財産清算人が裁判所の許可なく行える業務

相続財産清算人の権限に関しては、不在者財産管理人の規定が準用されており(民法第953条、同第28条)、民法第103条に定める「権限の定めのない代理人」と同様の範囲に限定されています。したがって、民法第103条の範囲内であれば、裁判所の個別の許可を得ることなく業務を行えるのです。

(権限の定めのない代理人の権限)
民法第103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

そのため、相続財産を適切に保護し、その価値を維持するために、保存行為・管理行為(相続財産の状態を変えずに維持・利用すること)については、裁判所の許可を得ることなく自らの判断で行うことができます。主に、以下の行為が挙げられます。

  1. 口座開設

    相続財産清算人は、被相続人名義の預金を解約し、清算人名義の口座に一本化して管理することが認められています。判例(高松高等裁判所平成26年11月4日判決)によれば、相続財産を管理する目的で口座を開設することは、民法第103条に定められた管理行為の範囲内です。なお、開設した口座に係る預金債権は、清算人個人ではなく相続財産法人(または、後に現れた相続人)に帰属することになります。

  2. 預貯金の払い戻し・解約

    預金の払い戻しや口座の解約は、散在する預金を一箇所に集め、管理を効率化するための保存行為ですので、家庭裁判所の許可は必要ありません。一方で、銀行預金を元本保証のある国債などに変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要となります。

  3. 債務超過時の対応

    すでにある債務の返済は、新たな負担を生じさせるものではなく、当然支払うべきものであるため、相続財産清算人が行うことができる行為とされています。被相続人の生前の看護費用や葬祭料などの支払い請求を受けた際なども、自身の判断で支払いを行うことが可能です。

  4. 不動産の相続登記

    不動産の売買を行う前に、その不動産の登記名義を相続財産法人名義に変更しなければなりません。被相続人が生前に購入したものの名義変更をしていない場合にも、不動産を管理するための行為として、相続登記を行うことができます。

  5. 固定資産税の支払い

    固定資産税の支払いは、不動産の所有者に対して課せられる義務です。相続人がいない・全員が相続放棄したといった場合などには、相続財産法人が納税義務者となるため、相続財産清算人が固定資産税を納付する義務を負うことになります。税金の納付は、民法第103条に規定される「保存行為・管理行為」に該当すると解されています。

  6. 訴訟対応(応訴・上訴の提起)

    相続財産に関して提起された訴えに対する応訴や上訴の提起については、財産の現状を維持・防衛するための保存行為として許可なく行えるとされています。

3-2.審判書(権限外行為許可)が必要な相続財産清算人の業務

一方で、相続財産の形を変える「処分行為」を行うには、家庭裁判所の許可が必要となります。処分行為を行う際には、家庭裁判所に権限外行為許可の申し立てをし、許可(審判書)を得なければなりません。

許可が必要な処分行為としては、代表的なものに以下の行為が挙げられます。

  1. 遺産分割協議への参加

    相続財産清算人が、法定代理人の立場で身分上の選択や重大な財産的合意を行う場合も許可が必要です。

  2. 不動産の売却

    相続債権者への弁済資金を捻出するためなどに不動産を売却する場合に、価格が適正であることや売却の必要性について、不動産鑑定書や査定書等をもって説明し、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

  3. 株式や家財・動産の処分

    株式などの権利や自動車の売却や廃車手続、家財道具の廃棄なども家庭裁判所の許可が必要です。なお、本や雑貨など価値が低い物品に関しては、管理の負担を軽減するため、相続財産清算人が独自の判断で処分することができるとされています。

  4. 墓地、納骨費用や永代供養費用などの支払い

    被相続人のための墓地・納骨費用や永代供養費用に関する支出は、相続財産の処分行為に該当するため、家庭裁判所の許可が必要です。

  5. 法的紛争・和解

    被相続人に代わって新たに訴訟を起こす行為や、訴えを取り下げる行為については、許可を得なくてはなりません。訴えの提起・取下げ、訴訟上の和解・調停の成立などは、敗訴による権利の否定や確定的な権利の放棄といったリスクを伴う、財産の現状を変更させる処分行為に該当します。ただし、「応訴」や、判決に対する「上訴(控訴・上告)」は保存行為として許可なく行うことが可能です。

3-3.許可を得ずに行った行為の法的効力は?

家庭裁判所の許可を得ずに行った行為は、「無権代理行為」となり無効です。

例として、相続財産管理人(裁判当時)Bが、被相続人Aが訴訟代理人Cを選任して提起した訴訟につき、訴訟代理人Cを解任して訴えの取下げをしたことが、家庭裁判所の許可を得ていないため、無効であるかが争われた事案があります。

裁判所は「問題は、相続財産管理人が、被相続人から訴訟委任を受けて同人の訴訟承継人のために訴訟を追行している訴訟代理人を解任すること、あるいは、被相続人が提起した訴えを取り下げることが、民法一〇三条所定の権限の範囲に属するか否かである。」と述べ、この点について以下のように判断しました。

次に、訴えの取下げについてみるに、相続財産管理人による訴えの取下げは、被相続人ないしはその訴訟承継人の訴訟追行による訴訟関係を消滅させ、訴訟による権利又は法律関係の確定を阻止する行為であり、これが重要な訴訟行為であることは、右のとおり民事訴訟法が訴訟代理権の範囲を包括的に法定しながらも、訴えの取下げはいわゆる特別委任事項としている(同法八一条二項、なお、五〇条二項)こと、また、裁判上の請求による時効中断の効力も訴えの取下げがあれば生じないものとされている(民法一四八条)ことからも十分にうかがうことができるのである。原判決が説示するように再訴の提起の可能性を考えるにしても、出訴期間の定めがある場合(たとえば、行政事件訴訟法一四条)や終局判決後である場合(民訴法二三七条二項)のように再訴が不可能となる場合があることを考慮せざるを得ない。

このような訴訟代理制度の特質や訴えの取下げの性質にかんがみると、相続財産管理人が、被相続人が提起していた訴訟について、同人の選任した訴訟代理人を解任したり、その訴えを取り下げたりするのは、法律関係の現状を維持するのとは大きく異なり、訴訟代理制度の活用による訴訟手続の円滑な進行ないしは訴訟手続による権利又は法律関係の確定を阻止する重大な効果をもたらすものであつて、民法一〇三条所定のいずれの行為にも属さず、したがつて、家庭裁判所の許可を得てしなければならないものというべきである。(略)また、被控訴人は、相続財産管理人Bによる本件訴えの取下げについては、それによつて妥当な結果を招来こそすれ、何人にも不利益を与えないから家庭裁判所の許可を要しない旨主張するが、ある行為が民法一〇三条所定の権限の範囲に属するか否かは当該行為の性質によつて決まることであり、結果のよしあしによるものではないから、被控訴人の右主張も理由がない。

本件において、亡Aを承継すべき者がだれであるかはともかくとして、一の3に認定した相続財産管理人Bによる亡A訴訟代理人Cに対する解任及び同4に認定した右Bによる本件訴えの取下げは、亡Aの訴訟承継人の法定代理人としてしたものと見ることができるものの、あらかじめ家庭裁判所の許可を得ていることを認めるべき資料はないから、先の説示に照らしていずれも無効である。

(東京高等裁判所昭和57年10月25日判決)

無権代理として原則無効とされる行為であっても、後に家庭裁判所に対して許可を申し立て、裁判所が当該行為を財産処理に必要と認めて許可を出した場合には、その許可によって管理人の権限が補完され、有効となる可能性があります。

あるいは、後に相続人が現れた場合に、相続人本人が相続財産清算人の無権代理行為を追認することで有効となる可能性もあると考えられています。

相続財産清算人の選任

相続財産清算人を選任するためには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所(参考:申立書提出先一覧)に「相続財産清算人の選任申立て」を行う必要があります。

参考:相続財産清算人の選任(裁判所)

1.相続財産清算人の選任の申立人

相続財産清算人の選任を申し立てることができるのは、利害関係人または検察官です(民法第952条1項)。

(相続財産の清算人の選任)
民法第952条1項 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。

「利害関係人」とは、被相続人と法律上の利害関係がある関係にある人のことで、主に以下のような人が利害関係人に該当します。

  • 被相続人の債権者
  • 特別縁故者(内縁の妻、事実上の養子など)
  • 特定遺贈の受遺者(遺言により財産をもらう人)
  • 遺言執行者
  • 被相続人と財産を共有している人(不動産の共有者など)
  • 被相続人の財産を管理している人(相続放棄した元相続人など)
  • 成年後見人

しかし、利害関係人が一切ない場合もあります。そうした場合に相続財産清算人を選任できないと、適切に財産を国庫に帰属させることができなくなってしまうため、国家公務員である検察官も相続財産清算人の選任を申し立てることができるようになっています。たとえば、生活保護を受けていた者が死亡し、相続人が所在不明である場合に、検察官が申し立てる、といったケースが考えられます。

2.相続財産清算人の選任の申立ての流れ

続いて、相続財産清算人の選任の申立ての流れを見ていきましょう。

相続財産清算人が選任されるまでの流れ

2-1.相続財産清算人の選任の申立書を裁判所に提出する

相続財産清算人の選任の申立書と財産目録や戸籍謄本等を家庭裁判所に提出する必要があります。申立書の書式は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

参考:相続財産清算人の選任の申立書(裁判所)

他に相続人がいないことを明らかにできる戸籍謄本等が必要です。個々のケースに応じて必要となる書類が異なりますので、事前に裁判所のホームページや窓口で確認しておくとスムーズです。

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の子ども(およびその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子ども(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 代襲者としての甥姪で死亡している方がいる場合、その甥又は姪の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 財産を証する資料(不動産登記事項証明書、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類など)
  • 利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証明する資料(戸籍謄本、金銭消費貸借契約書き写しなど)
  • 財産管理人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票

また、相続財産清算人の選任の申立て費用として800円分の収入印紙(民事訴訟費用等に関する法律別表1⑮)と、数千円分の連絡用郵便切手、官報公告費用として5,582円が必要です。収入印紙と郵便切手は申立て時に納付し、官報公告費用は裁判所からの指示を受けてから納付しましょう。連絡用郵便切手は裁判所によって必要な切手の種類と枚数が異なりますので、事前に確認するようにしてください。

2-2.「予納金」の支払い

2-2-1.予納金は相続財産清算人の報酬に充てられる

相続財産清算人の選任を申し立てる際に、上記の手数料とは別に、予納金を支払う必要があります。予納金は、相続財産清算人への報酬や公告費用、相続財産の調査、財産目録の作成、登記費用、および財産の維持管理に要する諸費用に充てられるお金です。

金額は一律に定められているわけではなく、事案によって異なります。数十万円から数百万円程度が一般的ですが、相続財産の状態によっては予納金を納付する必要のないこともあります。

なお、実務では、預貯金や現金などの容易に換価できる相続財産が十分にあり、予納金を納付しなくても相続財産清算人の報酬等を確保できるような場合には、予納金の納付を不要とし、相続財産の中から予納金を支出する運用もされているようです。具体的にいくらあれば予納金を納付しなくてよいのかは個別の事案によりますが、預貯金や現金が多く、想定される予納金額よりも多い場合に認められる可能性があります。

そのため、申し立ての際に「相続財産から予納金を支出することを希望します。」などと記載しておき、家庭裁判所と事前に打ち合わせておくと安心です。

2-2-2.予納金は誰が払う?

予納金は、原則として相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てる人が払います。

2-2-3.予納金の返還(償還)の時期は?

相続財産清算人が相続財産を換価すると、財産管理業務の諸費用や相続財産清算人の報酬は、換価した金銭から優先的に支払われます(民法第885条)。

(相続財産に関する費用)
民法第885条 相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する。ただし、相続人の過失によるものは、この限りでない。

そのため、諸費用の支払いが換価された財産で足りない場合に不足分を予納金でまかなうことになり、余った予納金は返還(償還)されます。

2-2-4.払えない場合は法テラスに相談を

予納金の相場は数十万円から数百万円程度と幅広く、支払が難しい場合もあるかと思います。予納金を支払えないときには、法テラスの民事法律扶助を受けられる可能性がありますので、あらかじめ法テラスに相談しておきましょう。

参考:法テラス

2-3.家庭裁判所による審理・選任

申立てを受けた家庭裁判所は、その内容を審査し、適切な人を相続財産清算人として選任します。選任の際、家庭裁判所は被相続人との関係、利害関係の有無、相続財産の内容などを慎重に検討します。申立人の利害関係が不適切であると判断されたり、相続財産清算人の選任が不要と判断されたりした場合には、申立てが却下されることがあります。

通常、専門知識を持つ弁護士や司法書士が選ばれることが多いですが、申立てを行った当事者が候補者を推薦することも可能です。ただし、家庭裁判所の審査を経て、必ずしも推薦された候補者が選任されるとは限りませんので注意が必要です。

3.相続財産清算人の選任期間

相続財産清算人の選任期間についてですが、理論上、清算人の業務は管理・清算すべき財産がすべて消滅するか、選任後に相続人が現れて財産を引き継ぐなど、清算の目的が達成されるまで継続します。つまり、「相続財産清算人の業務が終了するまで」が期間といえるでしょう。

なお、上限についての規定はありませんが、相続財産清算人の選任から清算手続の終了までに必要とされる最低限の期間は、6ヶ月とされています(民法第952条2項)。

民法第952条2項 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

これは、相続財産清算人の選任公告(2ヶ月)と相続人捜索の公告(6ヶ月以上)を1つの公告で行い、その間に相続債権者らに対する請求申出の公告(2ヶ月以上)を行うため、相続人捜索の公告期間である「6ヶ月」が最低限の期間となるのです。

相続財産清算人選任後の流れ

さて、相続財産清算人が選任された後は、以下のような流れで清算人の業務が進行します。

相続財産清算人が選任されるまでの流れ

また、相続財産清算人は選任されてから管理が終了するまでの間、定期的に清算事務報告書や清算事務経過一覧表を家庭裁判所に提出して、管理状況を報告します(家事事件手続法第208条、同第125条2項)。

(管理者の改任等に関する規定の準用)
家事事件手続法第208条 第百二十五条の規定は、相続人の不存在の場合における相続財産の清算に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、同条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。

家事事件手続法第125条2項 家庭裁判所は、第三者が成年被後見人に与えた財産の管理に関する処分の審判事件において選任した管理者(前項の規定により改任された管理者を含む。以下この条において「財産の管理者」という。)に対し、財産の状況の報告及び管理の計算を命ずることができる。

1.相続人への相続権主張の催告

相続財産清算人が選任されると、まず官報にその事実や、相続人に対して相続権を主張するよう呼びかける内容が掲載されます。官報は政府が発行する公式な機関紙で、最低6ヶ月以上を相続人捜索の公告期間とすることが法律によって定められています(民法第952条2項)。

この公告期間内に相続人が現れた場合は、その相続人に財産が渡され、清算人による手続きは終了となります。

なお、民法の改正前は、相続債権者や受遺者への請求申出の催告の後に相続権の主張の催告を行っていましたが、現在は相続財産清算人の選任と同時に行うよう変更されました。これにより、手続きがより効率的に進むようになりました。

2.相続債権者・受遺者への請求申出の公告・催告

相続財産清算人が選任された後は相続債権者や受遺者に対して、請求の申し出をするよう公告を行う必要があります(民法第957条1項)。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
民法第957条 第九百五十二条第二項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、二箇月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない。
2 第九百二十七条第二項から第四項まで及び第九百二十八条から第九百三十五条まで(第九百三十二条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。

この公告期間は最低2ヶ月で、先に行った相続権主張の公告期間内に行われます。

知れている相続債権者および受遺者がいる(相続債権者や受遺者が既に特定されている)場合は、公告に加えて、個別に催告を行う必要があります(民法第957条2項、民法第927条3項)。知れている相続債権者および受遺者に対する催告は、債務の承認として時効中断の効力を生じます。

(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
民法第927条 限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。
2 前項の規定による公告には、相続債権者及び受遺者がその期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者を除斥することができない。
3 限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。

なお、個別の催告は相続財産の清算のために行うものなので、清算を施す方法のないような権利者に対しては催告を必要としないと考えられています。

3.相続債権者・受遺者への弁済

相続債権者や受遺者への公告が終了した後、相続財産清算人は被相続人の財産を使って、相続債権者・受遺者への弁済を行います。この弁済は民法の規定に基づき、優先権を有する債権者、一般債権者、受遺者の順で行われ、同順位者間では債権額に応じた按分弁済(配当弁済)がなされます。

優先権を有する債権者には、留置権、先取特権、質権、抵当権を有する債権者が該当します(民法第929条但書)。次に弁済を受けられる一般債権者とは、公告期間内に申し出た者、および清算人に知れている一般債権者です(民法第929条本文)。そして、受遺者は債権者への弁済がすべて完了した後に弁済を受けることができます(民法第931条)。債権者は対価的に債権を取得しているのに対し、受遺者は遺言者による一方的な好意に基づく権利取得であることから、債権者に劣後すると考えられています。

また、相続財産清算人は、公告・催告手続を怠ったり、期間満了前に弁済したことで他の債権者に損害を与えたりした場合は、その損害を賠償する責任を負います(民法第934条)。

(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
民法第934条 限定承認者は、第九百二十七条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は同条第一項の期間内に相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。第九百二十九条から第九百三十一条までの規定に違反して弁済をしたときも、同様とする。
2 前項の規定は、情を知って不当に弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対する他の相続債権者又は受遺者の求償を妨げない。
3 第七百二十四条の規定は、前二項の場合について準用する。

相続人捜索の公告期間内に相続人が現れず、かつその6ヶ月の期間内に申出がなかった「知られざる債権者・受遺者」は、最終的にその権利を行使できなくなります(民法第958条)。

(権利を主張する者がない場合)
民法第958条 第九百五十二条第二項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

そして、弁済によって被相続人の財産が全て使い果たされた場合、その時点で手続きは終了となります。

4.特別縁故者への財産分与

相続人が現れず6ヶ月以上の公告期間が終了した場合、被相続人の特別縁故者は、残った相続財産の全てまたは一部を受け取る権利があります。特別縁故者とは「被相続人と生計を同じくしていた者」「被相続人の療養看護に努めた者」「その他被相続人と特別の縁故があった者」のことで、特別縁故者が財産を受け取るためには、公告期間終了後3ヵ月以内に家庭裁判所に財産分与の申し立てを行う必要があります(民法第958条の2第2項)。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第958条の2 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

なお、特別縁故者に該当すると認められても、当然に財産が分与されるわけではなく、家庭裁判所が「財産を分与するのが相当」と認めた場合に限られます。

5.残った共有持分は共有者へ帰属

不動産などの相続財産の共有者が死亡し相続人が存在しない場合、判例によると、その持分は相続債権者等への清算と特別縁故者への財産分与に使われた後、それでもなお承継すべき者がいないときに限り、他の共有者に帰属します(民法第255条)。

共有者の1人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産と共に、民法958条の3に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときに初めて、同法255条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。

(最高裁判所平成元年11月24日判決)

6.財産の国庫帰属と管理の終了

相続財産の手続きが全て完了しても、なお財産が残っている場合には、その残りの財産は国庫に帰属します(民法第959条)。

(残余財産の国庫への帰属)
民法第959条 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。

こうして、全ての清算が終了したら、相続財産清算人は家庭裁判所に対して清算事務終了報告書を提出し、同時に相続財産清算人の選任処分の取消審判の申立てを行います(家事事件手続法第208条、同第125条7項)。

家事事件手続法第125条7項 家庭裁判所は、成年被後見人が財産を管理することができるようになったとき、管理すべき財産がなくなったときその他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、成年被後見人、財産の管理者若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の取消しの審判をしなければならない。

家庭裁判所に提出する清算事務終了報告書には、清算事務の終了事由を明らかにするために、所有権移転登記簿謄本(登記事項証明書)や預金通帳、現金の受領書、国庫金領収証書といった資料を添付して提出します。

相続財産清算人の選任処分の取消審判によって、もしくは裁判所の職権によって、相続財産清算人の業務は終了します。

相続財産清算人に関するQ&A

Q1.相続財産清算人とは何ですか?

A:相続財産清算人とは、相続人の代わりに財産を管理・清算する人のことを指します。通常、財産の管理は相続人や包括受遺者が行いますが、相続人が明らかでない場合や相続人全員が相続放棄を選択した場合など、適切な財産管理を行うためには相続財産清算人が必要となります。相続財産清算人は、家庭裁判所によって選任され、被相続人の財産管理・清算を行います。

Q2.どのようなケースで相続財産清算人の選任が必要ですか?

A:相続財産清算人の選任が必要となる主なケースは以下の通りです。

  1. 被相続人に対して債権を持っている債権者が債権の回収をしたいが、相続人がいない場合。
  2. 相続放棄をした人が相続放棄時に占有していた相続財産の管理を他の人に任せたい場合。
  3. 特別縁故者が相続財産を受け取りたいが、相続人がいない場合。

Q3.相続財産清算人の選任の予納金とは何ですか?

A:予納金とは、相続財産清算人の経費や報酬のために、申立人が事前に納めるお金のことです。相続財産清算人には、相続財産の管理や債権者への支払い、専門家への依頼費用など、様々な経費が発生します。相続財産が少ない場合、費用や報酬の不足が懸念されるため、予納金が必要になることがあります。予納金の金額は事案によって裁判所が決定し、20万円〜100万円程度と幅広いです。余った予納金は返金されます。

まとめ

この記事では、「相続財産清算人」という制度について解説させていただきました。相続人がいない場合や、相続人全員が相続を放棄した場合には、相続財産清算人が故人の相続財産を管理し、債権者への支払いなどを行います。

相続財産清算人は家庭裁判所が選任するため、一般的に選任について悩む機会はほぼないかと思います。ですが、遺産を引き継ぐ人がいなくなるとその相続財産はどのように管理・処分されるのかを理解しておくことは大切です。

弁護士法人あおい法律事務所では、相続財産清算人をはじめとし、遺産相続に関するさまざまなご相談をお受けしております。当事務所の法律相談は初回無料となっておりますので、当ホームページのWeb予約フォームやお電話にて、ぜひお気軽にお問合せください。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。