公正証書遺言の作成費用│公証役場や証人への手数料、専門家の報酬はいくら?

遺言

更新日 2024.10.01

投稿日 2024.08.06

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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公正証書遺言は、遺言者の意志を確実に実現するための強力な手段です。しかし、公正証書遺言の作成には一定の費用がかかります。公証役場での手続きに伴う手数料や証人への謝礼、そして専門家への報酬など、複数の費用項目があります。

本記事では、公正証書遺言の作成に必要な費用について詳しく解説します。まず、公証役場で支払う手数料の具体的な金額や、その算出基準を紹介します。次に、証人として立ち会う人々への謝礼について触れ、これに関する注意点を説明します。また、遺言書の作成をサポートする弁護士や司法書士などの専門家に依頼する場合の報酬についても詳述します。

これらの費用を総合的に理解することで、公正証書遺言を作成する際の全体的なコストを把握し、適切な準備をする手助けとなるでしょう。あなたの大切な遺志を確実に伝えるために、ぜひ参考にしてください。

目次

公正証書遺言の作成にかかる費用│自分で公証役場に依頼するケース

そもそも公正証書遺言とは

公正証書遺言は、公証人が遺言者の意思を文書にまとめ、公正証書として作成する遺言書の形式であり、その信頼性と法的効力から多くの人に選ばれています。遺言者は公証役場で公証人に対して遺言の内容を口述し、公証人がその内容を正確に文書化します。この方法は、遺言内容の改ざんや紛失のリスクが低く、安全確実な遺言書を残す手段として非常に有効です。遺言者は署名捺印するだけで、公証人が書式や法律の不備を確認するため、確実に有効な遺言書を作成することができます。

「公正証書遺言とは」については下の記事で詳しく解説しております。あわせてご覧ください。

公正証書遺言を作成する際には、自分で公証役場に依頼する方法と、弁護士や行政書士などの専門家を通じて依頼する方法があります。

まずは、自分で公証役場に依頼した場合にかかる公正証書遺言の作成費用の概要を表でまとめてご紹介します。

弁護士や行政書士などの専門家に依頼する場合は、これらの費用に加えて専門家への報酬の支払いが必要です。専門家の報酬相場については、後ほど解説いたします。

公正証書遺言の作成手数料│必ず必要となる費用と相場

公正証書遺言の作成には、以下の費用が必ずかかります。

費用の種類

概要

費用相場

公正証書の作成手数料

公証役場で遺言を公正証書として作成してもらう際に発生する費用です。この手数料には遺言書の謄本費用も含まれます。手数料の金額は、遺言の内容や財産の額によって変動します。

1万~10万円

必要書類の準備費用

遺言者の身元や財産の詳細を確認するための必要書類(戸籍謄本、印鑑証明書、登記事項証明書など)が必要です。各書類の取得にはそれぞれ費用がかかります。

3,000~1万円

 

場合によっては必要となるその他の費用と相場

公正証書遺言の作成に際して、状況に応じて追加で発生する費用の詳細を以下の表にまとめました。

費用の種類

概要

費用相場 

公証人の出張費用・日当・交通費

遺言者が体調不良などで公証役場に出向けない場合、公証人が自宅や病院などに出張して遺言を作成することが可能です。この場合、通常の手数料に加えて出張費用が発生します。出張費用は、基本の手数料に1.5倍を加算した金額となり、さらに日当や交通費も必要です。

3万~7万円

証人の日当

公正証書遺言の作成には、2名の証人の立ち会いが必要です。遺言者自身で証人を用意できない場合、司法書士などの専門家や公証役場で証人の準備を依頼することができます。この際、証人の日当として1名あたり約7,500円~1万5,000円がかかります。

1万5,000~3万円

 以下では、それぞれの費用の内容について、詳しく解説していきます。

公証証書遺言の作成手数料│財産の額から早見表で確認

公正証書遺言を作成する際の手数料は、遺言に記載する財産の価格によって異なります。公証人に支払う手数料は、財産の額に応じて定められており、相続を受ける人ごとに手数料を合算して算出します。

公正証書遺言の手数料一覧(公証人手数料令第9条別表)

目的の価額

手数料

100万円以下

5,000円

100万円を超え200万円以下

7,000円

200万円を超え500万円以下

11,000円

500万円を超え1,000万円以下

17,000円

1,000万円を超え3,000万円以下

23,000円

3,000万円を超え5,000万円以下

29,000円

5,000万円を超え1億円以下

43,000円

1億円を超え3億円以下

43,000円 + 超過額5,000万円ごとに13,000円加算

3億円を超え10億円以下

95,000円 + 超過額5,000万円ごとに11,000円加算

10億円を超える場合

249,000円 + 超過額5,000万円ごとに8,000円加算

(引用:日本公証人連合会「Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?」)

公証人に出張を依頼する場合の手数料

遺言公正証書を作成する場所によっても手数料が変わります。例えば、遺言者が病床にある場合や、高齢や病気のために公証役場に行けない場合には、公証人が病院や自宅などに出張して遺言を作成することができます。この場合、通常の手数料に加えて、公証人の日当や交通費が必要となります。

公正証書遺言を作成する際に、公証人が出張する場合の費用について、以下の表で詳細を解説します。

項目

内容

費用の目安

公正証書作成手数料の加算

公証人が出張して公正証書遺言を作成する場合、通常の公正証書作成手数料に1.5倍の加算が適用されます。

通常手数料の1.5倍(例:3万円 → 4.5万円)

公証人の日当

公証人の出張に伴い発生する日当。1日あたり2万円が基本ですが、出張時間が4時間以内の場合は1万円となります。

1日2万円(4時間以内の場合は1万円)

交通費

公証人の出張にかかる実費としての交通費。出張先の距離や交通手段によって異なります。

実費(出張先の距離と交通手段により変動)

 

公証役場に支払う手数料の計算方法

STEP①財産を受け取る人ごとに財産の価額を算出し、合計する

まず、遺言により財産を受け取る人ごとに財産の価額を算出します。これに基づいて、次の表から手数料額を求めます。

これらの手数料を合計して、遺言書全体の手数料額を算出します。

STEP②全体の財産が1億円以下の場合は、1万1000円を加算

全体の財産が1億円以下の場合、STEP.01で算出された手数料額に1万1000円を加算します。この加算により、公証役場に支払う基本手数料が確定します。

STEP③謄本の枚数によってコピー代が加算

遺言書の原本、正本、謄本を各1部作成しますが、謄本の枚数によって手数料(コピー代)が加算されます。謄本は一般的に1枚あたり250円程度の費用がかかり、遺言書の内容が詳細で枚数が多い場合には、その分手数料が増加します。

STEP④公証人に出張を依頼する場合、日当・交通費を加算

遺言者が体調不良などの理由で公証役場に赴くことができず、公証人が出張する場合には、STEP.01で算出された手数料の1.5倍が加算されます。さらに、公証人の日当(約1万円~3万円)と交通費が別途発生します。出張が必要な場合には、事前に公証役場に相談して具体的な費用を確認すると良いでしょう。

手数料の計算例① 全財産を1人に相続させるケース

STEP① 財産額に応じて手数料を計算

Aさんに5,000万円 → 手数料: 29,000円

Bさんに5,000万円 → 手数料: 29,000円

合計手数料: 29,000円 + 29,000円 = 58,000円

STEP②加算

全体の財産が1億円以下のため、1万1000円を加算

58,000円 + 11,000円 = 69,000円

STEP③: 加算

謄本の枚数が10枚の場合(1枚あたり250円): 10枚 × 250円 = 2,500円

69,000円 + 2,500円 = 71,500円

STEP.④ 加算

公証人の出張が必要な場合: 69,000円 × 1.5 = 103,500円

日当・交通費: 約20,000円

103,500円 + 20,000円 = 123,500円

合計手数料

出張なしの場合→71,500円

出張ありの場合→123,500円+2,500円=126,000円

必要書類の準備費用

公正証書遺言を作成するためには、いくつかの必要書類を準備する必要があります。また、必要書類の取得にはそれぞれ費用がかかります。以下に、具体的な必要書類とその準備費用について詳しく解説します。

必要書類と取得費用一覧

書類名

費用目安

説明 

印鑑登録証明書

300円/1通

遺言者本人の3か月以内に発行されたもの

身分証明書

運転免許証、旅券、マイナンバーカード、住民基本台帳カード(有効期間内)

戸籍謄本・除籍謄本

450円/1通

遺言者と相続人との続柄が分かるもの

相続人以外の受遺者の住民票

300円/1通

財産を相続人以外の人に遺贈する場合

法人の登記事項証明書

600円/1件

財産を法人に遺贈する場合、その法人の登記事項証明書または代表者事項証明書

不動産の登記事項証明書

600円/1件

不動産を相続する場合

固定資産評価証明書

300円/1通(自治体により異なる)

不動産の評価額を示すもの

預貯金通帳のコピー

コピー代

預貯金を相続する場合

 

証人に支払う日当

公正証書遺言を作成する際には、証人の立ち会いが必要です。証人は遺言の内容を確認し、公証人と共に署名を行います。遺言者自身で証人を用意することが基本ですが、証人を見つけられない場合には、公証役場や士業事務所に依頼することも可能です。以下では、証人に支払う費用について、依頼先ごとに詳しく解説します。

①公証役場で紹介してもらう場合

公証役場で証人を紹介してもらうことができます。証人として紹介される人に特に資格は必要なく、利害関係のない人であれば適任とされます。自分で証人を見つけることが難しい場合に利用します。

費用の目安

証人1人につき6,000~7,000円

具体的な費用は公証役場によって異なるため、事前に確認することをお勧めします。

② 弁護士や司法書士、行政書士などに依頼する場合

公正証書の証人を弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼することも可能です。これらの専門家に依頼する場合、多くは遺言書作成サービスとセットになっています。遺言書の作成サポートを依頼すると、証人になってもらえることが一般的です。

 

費用の目安

行政書士の場合

5~10万円

司法書士の場合

5~20万円

弁護士の場合

20~30万円

これらの費用には、遺言書の作成サポート費用が含まれています。専門家に依頼することで、法的に問題のない遺言書を確実に作成することができます。

③知人に依頼する場合

公正証書遺言の証人には、相続に利害関係のない人を選ぶ必要があります。そのため、親族から選ぶのは難しいことが多いですが、信頼できる知人に依頼する方法もあります。知人であれば通常、費用は発生しません。ただし、お礼として数千円から数万円程度を渡すこともあります。

項目

費用の目安

知人に依頼する場合

お礼の金額(数千円~数万円)

知人に依頼する際は、証人としての欠格事由に該当しないことを確認する必要があります。欠格事由のある人が証人になると、公正証書遺言が無効になる可能性があるため、注意が必要です。

公正証書遺言の作り直しまたは一部変更にかかる費用

公正証書遺言を作成した後、遺言者の状況や心情に変化が生じ、「遺言の内容を一部または全部変えたい」と思うことはよくあります。遺言の効力が生じるのは遺言者が死亡した時点ですから、それまではいつでも何度でも変更が可能です。

公正証書遺言を変更・撤回する場合には、原則として新たに遺言を作成する必要があります(民法第1022条、第1023条1項)。新たな遺言書には「前回の遺言の内容を全部または一部撤回する」旨を明記するのが望ましいです。

なお、公正証書遺言の原本は公証役場に保管されているため、手元にある謄本を手書きで修正したり破棄したりしても効力は生じません。

公正証書遺言の取り消し(撤回)は公証役場で行うことができますが、取り消しには11,000円の費用がかかります。

公正証書遺言の変更は、内容により手続きが異なります。軽微な誤記の修正には費用がかからない場合もありますが、内容の大きな変更や取り消しには相応の手数料が発生します。

以下に、変更の種類ごとにかかる費用をまとめました。

 

  1. 軽微な誤記の修正
    軽微な誤記を修正する場合、費用がかからないことがあります。しかし、具体的な対応については公証役場での確認が必要です。
  2. 補充・更生による変更
    内容の変更が「補充・又は更生」の範囲内であれば、所定の手数料の2分の1で変更できます。変更が遺言書を作成した公証役場で行われる場合、手数料はさらに4分の1に減額されます。

 

項目

費用の目安 

軽微な誤記の修正

無料(公証役場で確認が必要)

補充・更生による変更(他の公証役場)

所定の手数料の2分の1

補充・更生による変更(同じ公証役場)

所定の手数料の4分の1

1.大きな変更による遺言書の作り直し
遺言内容に大きな変更が必要な場合、新たに遺言書を作成することになります。この場合、以前の公正証書遺言を撤回するための手数料と通常の公正証書作成手数料がかかります。取り消しの手数料は一律で11,000円です。

項目

費用の目安

遺言書の作り直し(大きな変更)

新規の場合と同様の作成手数料

公正証書遺言の取り消し(撤回)

11,000円

 

公証役場では公正証書遺言の無料相談ができる

公正証書遺言の作成を検討している方は、公証役場で公証人による無料相談を利用することができます。この無料相談を利用することで、手続きの流れや必要書類、基本的な事項についてアドバイスを受けることができます。ただし、以下の点に注意が必要です。

法律相談には対応していない

公証人の職務は、公正証書の作成や認証であり、具体的な法律相談は行いません。「遺言の内容をどうするか」「トラブル解決の法的アドバイス」などは弁護士に依頼してください。弁護士は法的に問題のない遺言書の作成や最適な内容を提案してくれます。

相談時間は平日の日中のみ

公証役場の執務時間は平日の9時00分から17時00分までです。土日祝日や夜間には相談できません。各公証役場の執務時間や休業日を事前に確認し、予約を取ることをお勧めします。

公証人が不在の場合がある

公証人が外出や出張で不在の場合があります。特に担当の公証人がいる場合や、公証人が一人しかいない役場では、予約をしてから訪問する方が確実です。事前に電話やインターネットで予約を取り、訪問日時を確認しておきましょう。

遺言内容を「自分にとって有利にしたい」「自分の希望が確実に実現するようにしたい」という具体的な相談は、弁護士にご相談ください。

弁護士に相談すると、法的に問題のない遺言書を作成でき、あなたにとって最適な内容を提案してもらえます。弁護士への相談には費用がかかりますが、遺言を確実に遺すことができる、相続後のトラブルを避けることができると考えればメリットの方が大きいでしょう。

公正証書遺言の作成を弁護士に依頼する場合の費用

遺言書を作るとき、多くの人が「専門家に頼むべきかどうか」という疑問にぶつかります。自分で遺言書を書くことはできますが、間違いやあいまいな言い回しがあると、家族間でトラブルが起きることがあります。また、形式に不備があればその遺言は無効となってしまいます。

その点、遺言書の作成を弁護士に依頼すると、遺言書を間違いなく遺すことができます。

弁護士に依頼するメリットは、遺言書を作成することだけではありません。弁護士は遺言を実行するための手続きを進めることもできます。弁護士費用については気になるところですが、家族の紛争を避け、スムーズに相続を進めるためには、依頼する価値はあると言えます。

遺言書作成を弁護士に依頼するメリットについては、下記記事で詳しく解説しております。あわせてご覧ください。

遺言書の作成を弁護士に依頼した場合の費用の相場は11万円~22万円ほどです。自筆証書遺言の場合も公正証書遺言の場合も費用に差はありません。作成費用の他にも費用が発生する場合があります。

費用の種類

費用の目安

相談費用

1時間あたり約1.1万円(税込)※初回無料相談の法律事務所も多い

遺言書作成費用

約11万円~22万円(税込)

その他実費

証人の公証役場への費用(日当・交通費等)

遺言書保管費

約1万円
(法務局の保管費は遺言書1通につき3,900円)

遺言執行費用

30万円から(内容や遺産額によって変動)

 

公正証書遺言の作成を行政書士・司法書士に依頼する場合の費用

行政書士に依頼する場合

公正証書遺言の作成を行政書士に依頼する場合、報酬相場は5万~20万円程度です。司法書士と比較しても、費用はほとんど変わらないか、少し安い程度です。

行政書士に公正証書遺言の作成を依頼する大きなメリットは、比較的手頃な費用で専門的なサポートを受けられる点です。行政書士は遺言書の作成に関する法的知識を持っており、書類の作成や手続きの代行を行います。

行政書士に依頼する場合には、相続トラブルの対応はできない点に注意が必要です。もし遺言書作成の主な目的がトラブルの回避であるならば、弁護士への依頼が適しています。弁護士は交渉や調停、相続トラブルの解決にも対応できます。

司法書士に依頼する場合

公正証書遺言の作成を司法書士に依頼する場合、報酬相場は8万~20万円程度です。

司法書士に公正証書遺言の作成を依頼する大きなメリットは、不動産登記を含む相続関連業務を一括で依頼できる点です。特に相続財産の大部分が不動産である場合、司法書士は遺言書の作成と同時に不動産の登記も扱うことができます。また、弁護士に比べると費用が安く済むため、コスト面でも有利です。

司法書士は主に官公庁への書類作成と提出代行を行っており、一定の法律知識を持っていますが、その専門性は行政機関への提出書類に限られます。相続は多岐にわたる財産や個々の事情に応じた対応が求められますが、司法書士が対応できる範囲は非常に限定的です。

相続人が1人しかおらずトラブルが想定されないようなシンプルなケースであれば、司法書士に依頼することも選択肢として考えられます。しかし、複雑なケースや確実な相続手続きを望む場合は、弁護士に依頼することが望ましいです。弁護士は相続トラブルの解決や、交渉、調停にも対応できるため、より包括的なサポートを提供します。

公正証書遺言の費用に関するQ&A

Q: 公正証書遺言の作成にかかる費用の種類は何ですか?

A: 公正証書遺言を作成する際には、いくつかの費用が発生します。まず、公証役場に支払う所定の手数料が必ずかかります。この手数料は遺言の内容や財産の額によって変動します。(1万~10万円程度)

また、公正証書遺言作成の前提として、戸籍謄本や不動産の登記事項証明書などの書類を取り寄せる必要があり、その費用も発生します。これらの書類の取り寄せ費用は約1,000円から5,000円程度です。さらに、公正証書遺言の原案作成や手続きのサポートを弁護士、司法書士、行政書士といった専門家に依頼すると、専門家に支払う報酬が必要となります。専門家報酬は依頼内容や専門家の種類によって異なりますが、一般的には10万円から20万円程度です。

Q: 公正証書遺言作成費用を弁護士や行政書士、銀行や信託銀行で比較するとどうなりますか?

A: 公正証書遺言作成費用を比較すると、弁護士や行政書士、銀行や信託銀行で異なります。弁護士費用は概ね10万~20万円程度で、遺言の内容が複雑になると20万円を超えることもあります。弁護士は紛争案件を取り扱う経験があるため、費用が若干高くなる傾向があります。一方、行政書士の費用は概ね10万円前後で、紛争案件を扱わないため比較的安価です。銀行や信託銀行は遺言信託というサービスを提供しており、遺言書作成、保管、執行までを総合的にサポートしますが、費用は最低でも140万~150万円前後とかなり高額です。遺言書の作成だけでなく、遺言の執行まで含めたサービスを希望する場合には、銀行や信託銀行を選ぶと良いでしょう。相談したい内容や予算に応じて、最適な依頼先を選ぶことが重要です。

Q: 複雑な家族構成や不動産が関わる場合、どの専門家に遺言書作成を依頼すべきですか?

A: 不動産が含まれる場合や相続人同士の不仲、生前贈与があるなど複雑なケースやトラブルが予想されるケースでは、当初から弁護士に相談することをお勧めします。弁護士はトラブルを事前に防ぐ遺言書を作成することが可能です。また、死後に万が一トラブルが発生した場合も、対応することが可能です。

まとめ

公正証書遺言の作成には、公証役場の手数料や必要書類の準備費用、証人への報酬、そして専門家への依頼費用などが発生します。公証役場での作成手数料は1万~4万円程度で、必要書類の準備費用も考慮する必要があります。公証人の出張が必要な場合は、出張費用や日当、交通費が追加されます。

遺言書の変更や撤回には、軽微な修正は無料で行える場合がありますが、大きな変更には新たに遺言書を作成する必要があり、手数料がかかります。遺言書の取り消しには、11,000円の手数料が必要です。

公正証書遺言の作成を検討する際には、多少の費用がかかっても、トラブルを防止し、自分の意思を確実に実現できる内容の遺言書を作成することが大切です。遺言書の作成を考えたら、まずは一度、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のサポートを受けることで、法的に有効でトラブルを回避できる遺言書を作成することができます。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。