相続と戸籍謄本|必要なのは亡くなった人の戸籍謄本?遺産相続に必要な戸籍謄本を徹底解説!

遺産相続が始まると、諸々の手続きで戸籍謄本が必要となります。亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本にはじまり、相続人全員分の戸籍謄本を求められることも少なくありません。しかも、相続開始後すぐに必要となることも多いため、あらかじめ必要な戸籍謄本の種類と取得方法を把握しておかなければなりません。
そこでこの記事では、遺産相続において必要となる戸籍謄本の種類や集め方について、弁護士が詳しく解説します。戸籍謄本が必要となる相続手続きについてもあわせてご確認ください。
目次
相続と戸籍謄本
1.遺産相続における戸籍謄本の使い道
相続手続きには戸籍謄本の取得が欠かせません。
その主な用途は、「被相続人(亡くなった人)の死亡を確認する」ことと、「相続人が誰であるかを明らかにする」ことの2つです。
具体的には、以下のような相続手続きに戸籍謄本が必要となります。
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相続人の調査
遺産相続では、誰が相続人になるのかを調査する必要があります。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)を集めたうえで、相続人が確定するまで、相続人となり得る人の戸籍謄本もあわせて収集することになります。
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遺言書の検認
遺言書の検認とは、遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人などの立会いのもとで遺言書の状態や内容を確認する手続きです(封印のある遺言書は、この場で開封されます)。なお、検認は遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。検認の申立て時には、相続人全員の戸籍謄本が必要になります。
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不動産の相続登記
所有権移転にともなう相続登記においても、「相続人と被相続人が誰であるか」、「対象となる不動産の所有者が被相続人であるのか」などを証明するために戸籍謄本が用いられます。
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銀行口座、株式、自動車等の名義変更
預貯金の払い戻しや証券口座の名義変更などの手続きでも、相続人と相続関係を証明するために戸籍謄本が必要となります。ただし、遺言書がある場合は、被相続人(故人)の死亡の記載がある戸籍謄本のみで足りることもあります。
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相続税の申告
相続税申告の手続きにおいても、被相続人及び相続人全員の戸籍謄本が必要です。
2.相続に必要な戸籍謄本の種類
遺産相続では、主に以下の種類の戸籍謄本が必要となります。
2-1.被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の死亡と、相続人となる人に誰がいるのか、被相続人とどのような続柄なのかを証明するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。
この出生から死亡までの戸籍謄本には、「除籍謄本」や「改製原戸籍謄本」も含まれます。除籍謄本とは、死亡や婚姻、転籍などによって在籍者全員が戸籍から除かれ、誰も記載されていない状態となった戸籍(除籍)の写しです。改製原戸籍謄本は、戸籍の改製時に以前の戸籍の内容を保存するために作成されたもので、改製された時点より前の情報が記載されています。
したがって、被相続人の出生から死亡までのすべての身分事項を把握するには、最新の戸籍謄本だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍謄本もあわせて取得しなければならない場合があります。こうして被相続人の家族関係や身分の変遷を正確にたどることで、すべての法定相続人を特定できるのです。
2-2.相続人全員の現在の戸籍謄本
相続人になり得る人(被相続人の子など)が判明しても、その人が実際に相続人になるとは限りません。なぜなら、その人がすでに死亡していて代襲相続が発生している場合などもあるからです。
そのため、相続人全員の現在の戸籍謄本を取得し、相続の開始時点で相続人として生存していたことを明らかにする必要があります。
2-3.代襲相続がある場合の戸籍謄本に注意
被相続人(親)が亡くなった時点で、その子がすでに死亡しており、死亡した子に子(被相続人から見て孫)がいる場合には、孫が相続人となります。これを「代襲相続」と呼びます。代襲相続がある場合は、亡くなった子(被代襲者)の生涯を追う戸籍謄本(出生から死亡まで)と、その子の子(代襲相続人)全員の現在の戸籍謄本を集め、代襲相続の発生と代襲相続人が誰であるかを明らかにしなければなりません。
3.なぜ被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要?
相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必須です。出生から死亡までの一連の戸籍謄本には、被相続人の父母や兄弟姉妹、子の存在、婚姻歴といった家族関係が詳細に記録されています。これらをたどることで、被相続人の財産を相続する権利がある人(法定相続人)を正確に特定できます。
たとえば、被相続人に子がいる場合は、戸籍に記載された子が相続人となります。子がいなければ父母などの直系尊属が、直系尊属もいなければ兄弟姉妹が相続人となり、いずれの場合も戸籍謄本を通じてその関係を確認します(配偶者は常に相続人となります)。
4.相続の戸籍は戸籍抄本でもいいの?
「戸籍謄本」が戸籍に記載された全員の身分事項を写したものであるのに対し、「戸籍抄本」は特定の人の分だけを抜き出したものです。遺産相続では、被相続人については戸籍全体から家族関係を確認する必要があるため、抄本での代用はできず、必ず出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。
死亡した人の戸籍謄本の取り方
1.亡くなった親の戸籍謄本の取り方
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得するには、以下の手順を踏みます。
- 死亡記載のある戸籍謄本または除籍謄本を取得する: まず、被相続人の死亡が記載されている最新の戸籍謄本または除籍謄本を取得します。これが出発点となります。
- 前の戸籍の情報をもとに遡る: 次に、取得した戸籍謄本に記載されている情報をもとに、一つ前の戸籍謄本を取得します。各戸籍謄本に従前の本籍地や筆頭者、改製日などが記載されている場合、その情報をもとに一つ前の戸籍に遡ることができます。
- 出生記載の戸籍に辿り着くまで繰り返す: この手順を繰り返し、被相続人の出生が記載されている戸籍謄本に辿り着くまで遡ります。
このように一つずつ戸籍を遡っていけば、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が揃い、法定相続人の特定や身分の変遷の確認ができるようになります。
死亡した人の戸籍謄本は、通常は本籍地にある市区町村役場で取得することができます。また、市区町村役場の支所や出張所でも取得可能です。
さらに、郵送での取り寄せも可能なほか、一部の自治体ではコンビニ交付に対応しており、コンビニエンスストアで取得することもできます。ただし、コンビニで取得できるのは自分が記載されている戸籍謄本のみで、除籍謄本や改製原戸籍謄本は対象外です。
利用できる市区町村については、総務省「コンビニ交付」の「利用できる市区町村」で確認できます。
死亡した人の戸籍謄本を取得できるのは、「本人の配偶者」および「祖父母、父母、子、孫などの、本人の直系血族」です。この場合、死亡した人との続柄が確認できる書類が必要です。ただし、その自治体の戸籍で続柄が確認できる場合は不要です。
配偶者や直系血族以外の人も、正当な理由や戸籍謄本を取得できる人からの委任状がある場合などには、戸籍謄本を請求できます。
たとえば、遺産分割協議のために本人の兄弟姉妹が取得したい場合は、交付請求書に具体的な請求理由を明記して申請します。また、本人の子から依頼を受けた弁護士が請求する場合は、委任状を添えて申請するのが一般的です。
2.亡くなった親の本籍地の調べ方
死亡した人の本籍地が不明な場合は、その人の住民票の除票(本籍地記載あり)を取得して調べることができます。ただし、本籍地は省略されることが多いため、申請時に本籍地の記載が必要である旨を明示しましょう。
また、その後の戸籍謄本の取得をスムーズに行うためには、住民票の除票に「戸籍の筆頭者」「世帯主」「続柄」も記載してもらうと良いでしょう。
住民票の除票は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する自治体の役場で取得可能です。取得方法や必要書類は以下の通りです。
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請求者 |
相続人または代理人 |
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請求先 |
亡くなった人の最後の住所地の市区町村役場 |
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手数料 |
1通につき300円 |
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必要書類 |
・住民票の写し等交付申請書 |
このほか、運転免許証から本籍地が分かることもあります。古いタイプの運転免許証には本籍地が券面に記載されています。ただし、ICチップ内蔵の新しいタイプでは券面に記載がないため、警察署や運転免許センターに設置された読み取り端末などでICチップ内の本籍地情報を確認してください。
また親族に尋ねることで、本籍地が判明する場合もあります。
3.出生から死亡までの戸籍謄本を取る際の注意点
複数の自治体での戸籍謄本の取得
被相続人の本籍地が複数の市区町村にまたがっている場合、出生から死亡までの戸籍謄本が一つの自治体に揃っているとは限りません。そのため、まずは最後の本籍地の自治体で取得できる限り戸籍を遡り、次に以前の本籍地があった自治体で同様の作業を繰り返す必要があります。同じ政令指定都市内であれば、行政区が異なっても一括して取得が可能です。
窓口での請求の際の対応
窓口で戸籍謄本を請求する際には、通常の請求書の様式に「出生から死亡までの戸籍謄本」を求める選択肢がないことが多いため、職員に直接その旨を伝えると良いでしょう。職員は、その自治体で取得できる限界まで戸籍を遡り、次にどの自治体で取得すべきかを教えてくれます。
郵送での請求方法と費用
郵送で戸籍謄本を請求する場合は、請求書の余白部分に、「被相続人(氏名、生年月日、死亡日)の相続手続きのため、出生から死亡までの戸籍が必要です。」と明記します。
定額小為替を同封する際には、必要な通数が事前には分からないため、余裕を持った金額を入れておきます。戸籍謄本の手数料は1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本は1通750円のため、450円と750円の定額小為替を数枚ずつ同封しておくと良いでしょう。余った分は戸籍謄本と共に返送されますが、不足している場合は追加で送る必要があるため、余分に同封しておくと安心です。
遺産相続における戸籍謄本の必要部数
1.一般的に3~4通以上必要
相続手続きで必要となる戸籍謄本の通数はケースによって異なりますが、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集めると、多くの場合3~4通以上になります。特に、結婚や本籍地の移動などで新しい戸籍が作成されていたり、改製原戸籍謄本が必要になったりすると、必要となる部数はさらに増加します。
戸籍謄本は、被相続人の死亡確認や相続人の範囲確定のために不可欠であり、想定外の相続人が発覚することもあるため、漏れなく準備する必要があります。手続きによっては提出した戸籍謄本の原本を返却してくれないこともあるため、あらかじめ必要部数を準備しておくか、法定相続情報一覧図の作成を検討すると良いでしょう。
2.戸籍謄本に有効期限はある?
戸籍謄本には発行年月日が記載されていますが、発行から一定期間が過ぎると使えなくなるものではありません。一度発行された戸籍謄本はその後も有効な書類として扱われます。ただし、提出先によっては、新しい戸籍謄本を要求される場合があります。例えば、金融機関や法務局などは「発行から3か月以内の戸籍謄本」といった条件を設けていることがあります。
そのため、相続手続きの際には、提出先の要件を事前に確認し、必要に応じて新しい戸籍謄本を取得するようにしましょう。
相続と戸籍謄本に関するQ&A
Q1.遺産相続で何のために戸籍謄本が必要になるの?
A:被相続人の死亡と、相続人が誰であるかを明らかにするために、戸籍謄本が必要となります。
Q2.遺産相続で使う戸籍謄本はコピーでも大丈夫ですか?
A:相続手続きで使用する戸籍謄本は、手続きによって原本が必要な場合とコピーで足りる場合があります。一般的に、法的な証明が求められる手続きでは原本の提出が求められます。ただし、コピーで受け付けてもらえる場合もあるため、事前に提出先へ確認してください。また、提出した原本は、何もしなければ返却されないことが多いものの、原本還付の手続き(原本のコピーを併せて提出する等)を行えば、基本的には返却してもらえます。ただし、即日返却される場合と後日返却となる場合があるため、返却の時期についても確認が必要です。
返却を待たずに複数の手続きを並行して進めたい場合には、必要部数の戸籍謄本を準備するか、法定相続情報一覧図の作成を検討するとよいでしょう。
Q3.戸籍謄本の枚数が膨大で管理が大変です。代わりになるものはありませんか?
A:相続手続きでは、戸籍謄本や除籍謄本などさまざまな書類が必要になり、相続人が多い場合にはその通数が膨大になることがあります。この手続きの負担を軽減するために、2017年5月29日から法定相続情報証明制度がスタートしました。
この制度は、戸籍謄本や除籍謄本などを基に作成した法定相続情報一覧図を法務局に提出し、登記官の認証を受けることで、認証文付きの「法定相続情報一覧図の写し」の交付が受けられるというものです。一覧図は法務局に5年間保管され、その間は何度でも無料で写しの再交付を受けられます。もともとは不動産の相続登記が放置されることを防ぐために導入されたものですが、預貯金口座の相続手続きなどにも活用できます。
一度法定相続情報一覧図を作成しておけば、相続手続きが格段に楽になるでしょう。
まとめ
戸籍謄本は相続手続きに欠かせない書類です。身近な人が亡くなった際には、遺産分割や相続税申告、不動産の相続登記など、さまざまな手続きで戸籍謄本の提出を求められます。必要な戸籍謄本の種類には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本が含まれます。
また、戸籍謄本の取得方法についても理解しておくことが重要です。役所の窓口での請求や郵送、コンビニ交付など、手続き方法はさまざまですが、必要な通数や種類を事前に把握し、計画的に取得することがスムーズな相続手続きにつながります。
この記事では、相続手続きに必要な戸籍謄本の種類や取り寄せ方について解説しました。相続に際しては、戸籍謄本の準備を忘れずに行いましょう。
この記事を書いた人
略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。
家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。





