遺族年金の請求手続きの方法は?期限や必要書類、請求書の書き方も紹介!

相続手続き

更新日 2026.09.11

投稿日 2024.07.05

監修者:弁護士法人あおい法律事務所

代表弁護士 雫田雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

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大切な家族を失った直後は、遺族年金の手続きも心身ともに大きな負担となり得ます。受給要件を満たす場合には、必要な手続きを行うことで遺族年金を受給でき、生活上の不安を和らげられる可能性があります。

この記事では、遺族年金の請求手続きの流れ、必要書類、請求に関する時効を解説します。あわせて、年金請求書の記入時に確認したいポイントも紹介します。遺族年金の請求では、制度や必要書類を確認したうえで、早めに準備を始めることが大切です。本記事を、手続きを進める際の確認材料としてご活用ください。

目次

そもそも遺族年金とは│遺族基礎年金と遺族厚生年金がある

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者等が亡くなった場合に、所定の要件を満たす遺族に支給される年金です。主な種類には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者等が亡くなった場合に、その人に生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までの子(障害の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者」または「子」が受けられる年金です。子の生活を支えることを主な目的とする制度であるため、原則として子のいない配偶者は受給できません。

次に、遺族厚生年金について説明します。遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった方が亡くなった場合に、所定の要件を満たす遺族が受けられる年金です。要件を満たす場合には、遺族基礎年金とあわせて受給できることがあります。遺族厚生年金は、配偶者や子のほか、受給順位に従い、父母、孫、祖父母が受給できる場合があります。ただし、受給の可否は、遺族の範囲、順位および生計維持関係などの要件によって判断されます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件・年金額の詳細は、以下の関連記事をご覧ください。



遺族年金の請求手続き期限はいつまで?

遺族年金を受ける権利は、原則として、受給権が発生してから5年を経過すると時効により消滅します。一般には、亡くなった日の翌日から5年が目安となるため、早めに請求することが重要です。もっとも、やむを得ない事情により時効完成前に請求できなかった場合には、理由を書面で申し立てることで、時効消滅させない取扱いがされることがあります。

遺族年金は、遺された家族の生活を支える重要な制度です。時効による不利益を避けるためにも、必要書類を確認し、できるだけ早く請求の準備を始めましょう。

遺族年金の請求手続き方法と流れ

遺族年金を請求する際の手続きの流れを、順に説明します。

①年金請求書を取得し作成する

年金請求書は、亡くなった方と請求者に関する情報を記載し、遺族年金を請求するための書類です。氏名、死亡年月日、年金加入・受給状況など、所定の事項を正確に記入します。

年金請求書は、年金事務所または街角の年金相談センターで入手できます。遺族基礎年金の請求書は、住所地の市区町村役場でも入手できます。各様式は、日本年金機構のウェブサイトからもダウンロードできます。

遺族基礎年金の請求書:「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」(日本年金機構HPより)

遺族厚生年金の請求書:「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号」(日本年金機構HPより)

書類を入手したら、必要事項を記入します。年金請求書には、亡くなった方の氏名、生年月日、死亡年月日、請求者の氏名・連絡先のほか、年金加入履歴や受給していた年金の種類などを記載します。不明な点がある場合は、年金事務所または街角の年金相談センターに相談してください。

請求書の記入例と記入方法の案内は、後段で紹介します。

②年金請求書に添付する必要書類を準備する

年金請求書には、原則として次の書類を添付します。ただし、請求する年金の種類、請求者の続柄、マイナンバーの記入の有無、死亡原因などによって、添付書類は異なります。

【主な添付書類】

必要書類

目的

注意点 

基礎年金番号が確認できる資料(お持ちの場合)

基礎年金番号を明らかにする

基礎年金番号を確認できる資料があれば、手続き時に持参すると確認が円滑です。必須書類かどうかは、請求先に事前に確認してください。

戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し

死亡者との続柄および請求者の氏名・生年月日の確認

受給権発生日以降で提出日から6カ月以内に交付されたもの

世帯全員の住民票の写し

死亡者との生計維持関係の確認

受給権発生日以降で提出日から6カ月以内に交付されたもの。マイナンバーを記入すれば添付省略できる場合がある

死亡者の住民票の除票

死亡の事実の確認

世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要

請求者および子の収入を確認できる書類

生計維持認定のため

所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票等。ママイナンバーを記入すれば添付省略できる場合がある

子の収入が確認できる書類

生計維持認定のため

義務教育終了前は不要。高等学校等在学中の場合は在学証明書または学生証のコピー等

マイナンバーを記入すれば添付省略できる場合がある

死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書

死亡の事実および死亡年月日の確認

市区町村長に提出したもののコピー

受取先金融機関の通帳等(請求者本人名義)

受取先金融機関の確認

 金融機関名、支店名、口座名義人のカナ氏名、口座番号が確認できる通帳またはキャッシュカードの写しなどを用意します。ただし、請求書に金融機関の証明を受けた場合や、公金受取口座を利用する場合は、添付を省略できることがあります。

出典:日本年金機構ホームページ「遺族厚生年金を受けられるとき」、「遺族基礎年金を受けられるとき

③請求書と必要書類を申請先に提出する│郵送も可

遺族年金の請求書の提出先は、請求する年金の種類や亡くなった方の加入状況によって異なります。郵送で提出できる場合もありますが、宛先や必要書類を事前に請求先へ確認してください。(参考:日本年金機構HP 

  • 遺族基礎年金を請求する場合
    原則として、住所地の市区町村役場に提出します。ただし、死亡日が国民年金第3号被保険者期間中であった場合は、年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。
  • 遺族厚生年金を請求する場合
    年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。共済組合等の加入期間がある場合は、加入していた共済組合等にも必要書類や提出先を確認してください。

④「年金証書・年金決定通知書」を日本年金機構から受け取る

年金請求後、審査を経て「年金証書」と「年金決定通知書」が送付されます。送付時期は請求内容や審査状況によって異なるため、余裕をもって手続きを進めましょう。

年金証書は、年金の受給権が決定されたことを示す重要な書類です。基礎年金番号などが記載されているため、年金に関する手続きに備えて大切に保管してください。紛失した場合は、年金証書の再交付手続きを行うことができます。

年金決定通知書には、決定された年金額などが記載されています。年金額や支払額が変更された場合には、内容に応じて年金額改定通知書または支給額変更通知書などが送付されます。

⑤「年金振込通知書」または「年金支払通知書」を確認する

年金振込通知書は、原則として毎年6月に、6月から翌年4月までの各支払期に振り込まれる金額を知らせる通知です。年金の振込額や受取金融機関に変更があった場合にも送付されます。内容を確認し、大切に保管してください。

年金支払通知書は、初回に過去分まで遡って年金が支払われる場合や、年金額が過去に遡って決定・変更された場合に、振込額とその内訳を知らせる通知です。通知書の記載内容は受給する年金の種類等によって異なります。

ただし、年金支払通知書は毎回の年金支払月に送られるものではなく、変更があったときにのみ送付されることに注意が必要です。

遺族年金の申請から受給までの期間

遺族年金の請求から初回支払までに要する期間は、請求内容、添付書類の不備の有無、審査状況などによって異なります。年金証書・年金決定通知書が届いた後も、初回支払日は定例支払日や過去分の支払の有無によって変わります。具体的な支払時期は、送付される通知書で確認してください。

まず、遺族年金の申請を行い、必要な書類を提出すると、約60日後に日本年金機構から年金証書が送られてきます。この年金証書には、受給権を取得した月が記載されており、その翌月から受給が始まることになります。年金決定通知書も同時に送られてきて、支給される年金額が確認できます。

しかし、ここで年金をすぐに受け取れるわけではありません。年金証書が届いてから実際に年金が振り込まれるまでにはさらに約50日かかります。したがって、申請から初回受け取りまでの合計期間は約4か月弱となります。

なお、提出書類に不備があった場合や複数の年金を受給する場合などは、調査に時間がかかり、この期間がさらに延びることがありますので、早めに準備し、書類を正確に揃えることが重要です。

初回の支払額には、受給権発生後の未払分がまとめて含まれる場合があります。具体的な支払対象期間と振込額は、年金支払通知書などで確認してください。

年金は、原則として偶数月の15日に、その前2か月分が支払われます。15日が土日・祝日の場合は、直前の平日に支払われます。初回支払や過去分の支払がある場合には、定例支払月以外に振り込まれることがあります。たとえば、2月の定例支払では、前年12月分と1月分が支払われます。

遺族年金の年金請求書の書き方

請求書の書き方は、種類によって多少異なりますが、基本的な流れは同じです。

  1. 請求者の住所、氏名、生年月日などを記入します。
  2. 亡くなった方の住所、氏名、生年月日、死亡年月日などを記入します。
  3. 請求する年金の種類を選択します。
  4. 請求者の口座の情報などを記入します。
  5. 必要書類を添付します。

遺族年金請求書の記入例と記入方法の案内動画は、日本年金機構のウェブサイトで確認できます。

遺族基礎年金の請求書の記入例:年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号(記入例)

遺族厚生年金の請求書の記入例:年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)様式第105号(記入例)

動画では記入方法のポイントや注意点を交えながら、請求書の記載方法を紹介しています。

  • (日本年金機構)年金請求書(遺族基礎年金)の記載方法について:YouTube
  • (日本年金機構)年金請求書(遺族厚生年金)の記載方法について:YouTube

遺族年金の請求手続き代行を専門家に依頼できる

遺族年金の請求では、請求書の記入に加え、戸籍謄本や住民票などの書類を準備する必要があります。

窓口への相談や書類の取得に時間を割くことが難しい場合には、社会保険労務士などの専門家への依頼を検討する方法もあります。依頼できる業務の範囲や必要な委任状は事案により異なるため、事前に確認しましょう。

代行を依頼する際には、委任状を準備する必要がありますが、自分で全ての書類を集めるのが困難な場合には、この方法は非常に有効です。社会保険労務士は、年金に関する書類作成や提出手続きについて支援を受けられる専門家の一つです。書類の準備や手続きの進め方に不安がある場合は、依頼範囲と費用を確認したうえで、専門家への相談を検討するとよいでしょう。

遺族年金の請求以外に必要な年金手続き

年金受給者死亡届の提出│年金の受給停止に関する手続き

年金を受けていた方が亡くなった場合、日本年金機構にマイナンバーが収録されていれば、死亡届は原則として不要です。ただし、未支給年金を請求する場合などには別途手続きが必要です。死亡届の提出が必要な場合は、年金事務所または街角の年金相談センターに確認のうえ、必要書類を添えて提出します。

死亡届が必要な場合の提出期限は、原則として10日以内です。国民年金のみの場合は14日以内とされています。届出が遅れると過払いが生じることがあるため、早めに確認しましょう。これらの期限を守るためにも、早めに必要書類を揃え、手続きを進めることが重要です。

未支給年金の請求手続き

年金を受けていた方が、まだ受け取っていない年金を残して亡くなった場合、亡くなった当時にその方と生計を同じくしていた一定の遺族が、未支給年金を請求できることがあります。請求できる遺族には順位があるため、事前に確認が必要です。

手続きには、「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を提出します。年金証書、続柄や生計同一関係を確認できる書類、受取口座が確認できる書類などが必要となりますが、請求者の状況により異なります。提出方法は、郵送、窓口または電子申請です。

必要な書類が揃っていないと手続きがスムーズに進まないこともありますので、事前に準備を整え、疑問点がある場合は年金事務所や年金相談センターに問い合わせると良いでしょう。

遺族年金の請求手続きに関するQ&A

Q1.遺族年金の請求手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?

A: 請求から年金証書の送付、初回支払までに要する期間は、請求内容や審査状況によって異なります。書類に不備がある場合や確認事項が多い場合には、さらに時間がかかることがあります。初回支払時期は、送付される通知書で確認してください。

書類に不備があったり、複数の年金を受給する場合はさらに時間がかかることもあります。手続きを早めに開始し、必要な書類を正確に揃えることが重要です。

Q2. 自分で遺族年金の手続きを進めることが難しい場合はどうすればよいですか?

A:社会保険労務士などの専門家に相談する方法があります。依頼できる業務の範囲、委任状の要否、費用は個別に異なるため、事前に確認しましょう。ご自身で全ての書類を集めるのが困難な場合には専門家に依頼することで、手続きをスムーズに進められます。

Q3.年金受給者が未支給年金を受け取らずに亡くなった場合、どうすればよいですか?

A:亡くなった当時にその方と生計を同じくしていた一定の遺族は、順位に従って未支給年金を請求できる場合があります。年金事務所等に相談し、必要書類と提出方法を確認してください。

手続きに必要な書類には、「未支給年金・保険給付請求書」、受け取りのための預金通帳、故人の年金手帳、年金証書、戸籍謄本、そして同じ生計で生活していたことを証明する住民票の写しなどがあります。申請後、書類の審査が行われ、問題がなければ未支給分が振り込まれます。

まとめ

遺族年金の請求では、請求書の記入に加え、戸籍謄本や住民票などの書類を準備する必要があります。本記事では、遺族年金の概要、請求手続きの流れ、必要書類、受給権に関する時効などを解説しました。請求の可否や必要書類は個別の状況によって異なるため、早めに確認を始めることが大切です。手続きが完了するまでには時間がかかることもありますが、必要な書類を正確に揃え、期限を守ることが大切です。

自分で手続きを進めることが難しい場合は、社会保険労務士などの専門家への相談も検討できます。不明な点がある場合は、年金事務所または街角の年金相談センターに確認してください。

遺族年金は、遺された家族の生活を支える重要な制度です。本記事が、手続きを進める際の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

弁護士法人あおい法律事務所
代表弁護士

雫田 雄太

略歴:慶應義塾大学法科大学院修了。司法修習終了。大手法律事務所執行役員弁護士歴任。3,000件を超える家庭の法律問題を解決した実績から、家庭の法律問題に特化した法律事務所である弁護士法人あおい法律事務所を開設。静岡県弁護士会所属。

家庭の法律問題は、なかなか人には相談できずに、気付くと一人で抱え込んでしまうものです。当事務所は、家庭の法律問題に特化した事務所であり、高い専門的知見を活かしながら、皆様のお悩みに寄り添い、お悩みの解決をお手伝いできます。ぜひ、お一人でお悩みになる前に、当事務所へご相談ください。必ずお力になります。